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MEIJI PARK(都立明治公園P-PFI事業)

土地の記憶を伝え、パブリックライフを支える器のデザイン

 MEIJI PARKは、都立公園として初のPark-PFI事業として、公募・再整備された都市公園である。東京の超都心に位置し、スポーツクラスターに囲まれた場所で、ハード・ソフトの両面の工夫により、都市居住者や国内外の多様な訪問者に開かれた、多世代が自然に共存しつつ未来へ受け継ぐ「レガシー」となる公園を目指した。

 渋谷川の支流域だった谷地形を現代的に再生することを試み、西側のにぎわい・交流ゾーンから東側の豊かなみどりゾーンへと、人と都市・自然との関わり方が徐々に移行する縦断面的シークエンスを描いた。

 敷地の高低差は最大約8m、外苑西通り沿いには約2mの擁壁が迫り、歩道に閉塞感を与えていた。擁壁を撤去し、園路、せせらぎ、草土手の重なりによって、人々の記憶に残る旧渋谷川の牧歌的なイメージを想起させるような緑溢れる「みちひろば」へと刷新した。

 イベントで活用される「希望の広場」は縁台ベンチで囲み、店舗との見る/見られる関係を生む空間構成とした。可動式遊具のある「インクルーシブ広場」では、広場を取り囲むように腰掛け・テーブルを設け、子どもたちを見守る保護者の居場所づくりにも配慮している。

 「誇りの杜」では、時間軸を意識した“ハーフメイドの杜づくり”を念頭に、武蔵野雑木林をイメージした明るい林床を持つ常落混合林による多階層構造の杜づくりを都民協働で進めている。2本の涸れ沢で集めた雨水は、所々に設けた堰等によって湿り気のある生育環境をもたらし、さらにレインガーデンで浸透を促され、「希望の広場」地中の礫間貯留層を介し旧渋谷川(暗渠化された下水系統)へと放流するなど、高度な雨水浸透システムを敷地全体で連係構築したグリーンインフラ・パークである。

住 所:東京都新宿区霞ヶ丘町5-7
規 模:約16,000㎡
竣 工:2024年1月(部分竣工:2023年10月)
公園整備・管理運営事業者:Tokyo Legacy Parks(SPC)                     

協 働:日本工営都市空間,黒川紀章建築都市設計事務所,濱野周泰 他
受 賞:グッドデザイン賞2024,第18回キッズデザイン賞,第40回都市公園等コンクール
掲 載:新建築 2025年3月号
    日経アーキテクチュアNo.1292(2025.07.24) 他